【ズラシ戦略書評】サービスが溢れる時代、どう差別化するか?
今日は、「ズラシ戦略」という元マッキンゼー「並木裕太」さんが書かれた、マーケティング本を紹介します。
この本には、新規事業成功の鍵が書かれており、競合と差別化したい、自社の強みを生かして事業拡大したい!と考える、マーケター・経営者は、絶対読むべき一冊です。
この本には、大手企業の「ずらし戦略成功事例」がたくさん載っているのですが、大手の方のみならず、僕らのような中小企業やフリーランスの新規事業にも役立つ内容になっています!
今回の記事では、次の3部構成で本書を紹介します。
- ずらし戦略とは何か?
- ずらし戦略のフレームワーク2つ
- ずらし戦略を実行するために必ずやるべきこと
ズラシ戦略とは何か?
では、「ズラシ戦略とは何か?」について解説します。
ずらし戦略をわかりやすく言うと、もともと持っている自社の強みを、別の企業や人に売ることです。つまり、「ずらし戦略=顧客ずらし戦略」なんです。
そして、マーケター・経営者は、この「ずらし戦略」を知らずに、厳しいビジネスで生き残っていくことはできません。
では、なぜ「ずらし戦略」を知っておく必要があるのでしょうか?
それは、時代の変化が激しく、現状維持のままでは、生き残れないからです。
今の時代は、テクノロジーの急激な発展によって、急に伸びる会社が存在する一方、時代についていけない企業も多数存在します。
そして、成長していた会社さえも、次のテクノロジーの変化や、顧客ニーズの変化によって、すぐに衰退する危機もあるのです。
つまり、テクノロジーの変化、顧客ニーズの変化に対応していかないと、倒産の危機があります。
「新規事業を起こしていかないと、企業は存続できない」という言い方もできると思います。
だからこそ、「ずらし戦略」が必要なんです。
- もともと持っている自社の強みを、いかに別の企業や人に売るか?
- もともと展開していた既存ビジネスを、いかに新ジャンルで生かすか?
という発想、戦略が必須です!
ずらし戦略のフレームワーク2つ
それでは、「ずらし戦略」のフレームワークを2つ紹介していきます。
ずらし戦略のフレームワーク1つ目
まず、フレームワークの1つめです。
こちらの図をみてください。
縦軸が、事業領域、横軸が自社の強みです。
事業領域とは、主に業界のことです。
人材業界とか、テクノロジー業界とか、そういう括りで語ることができますし、また、toC事業、toB事業と分けることもできます。
縦軸の自社の強みになり得るものは、技術力、営業力、ビジネスモデル、人材などが挙げられます。
ただ、急にこんなマトリックスを見せられても、意味不明ですよね?
なので、僕の簡単な事例を出させていただきます。
縦軸をtoC事業、toB事業、横軸をWebマーケティング、アニメ制作と分けます。
僕が、起業仕立ての1年半前、個人向けにWebマーケティングのコンサルティングを行っていました。
左下の領域ですね。
ただ、単価を上げるために、半年経ってから、顧客を個人から企業に変更したんです。
縦方向に事業領域をずらしました。
ものすごくシンプルな例ですが、僕の事例も一つの「ずらし戦略」です。
また、法人化してからは、企業向けにアニメーション制作を始めました。
フィールドを右上に移したんです。
ここで大事なポイントは、「ずらし戦略」では、隣にずらすということです。
「新たなスキルと、新しい事業領域で勝負しよう!」と、いきなり右上の領域に参入するのは、めちゃめちゃ難しいからですね。
いきなり難易度を上げないで、まずは、隣にずらすというのがポイントです。
ずらし戦略のフレームワーク2つ目
続いて、ずらし戦略のフレームワーク2つ目を紹介します。
このフレームワークを理解しておくと、新規事業をとても考えやすくなります。
また、理解しやすいように、ミクシィやTYOといった、企業の成功事例も紹介していきます。
では、まずこちらの図を見てください。
これは、ずらし戦略を考える際に、ビジネスを課題と解決策に因数分解して考え、
これらの掛け合わせで、AからDまで、4パターンに分けています。
パターンA:既存の課題に対して、既存の解決策を提供するパターン
パターンB:既存の課題に対して、新たな解決策を提供するパターン
パターンC:新たな課題に対して、既存の解決策を提供するパターン
パターンD:新たな課題に対して、新たな解決策を提供するパターン
まず、パターンDですが、かなり難易度が高いです。
新たな課題に対し、新しく技術開発などをして、新規事業を行っていくというのは、滅多にない事例です。
また、パターンAは、すでに事業化されている領域なので、競合が多く、新規参入は少し難易度が高いです。
ということで、パターンAとDの事例を今回は省略します。
ずらし戦略で狙い目なのは、パターンBとCで、課題と解決策のどちらか一方に変化が起きているとき、新規事業は成功しやすいんです。
パターンBの事例:ミクシィ
パターンBは、既存の課題に対して、新たな解決策を提供するパターン。
このパターンで大成功したのは株式会社ミクシィです。
株式会社ミクシィが提供する「mixi」は、2004年、SNSの先駆け的な存在として、今の30代の方を中心に、流行ったサービスです。
しかし、2008年にFacebookが出たり、2011年にLINEが登場したことで、勢いが衰えました。
そんな中、ミクシィが生み出したのが、「モンスターストライク」という、スマホゲームで、これが大ヒットしました。
そして、このモンストというゲームに、ミクシィのずらし戦略が詰まっています。
ミクシィのもともとの強みは、SNSと口コミマーケティングでした。
「mixi」を使った人が、友人に「mixi」が面白かったよと勧め、そして、またその友人が、「mixi」が面白かったよとまた他の友人に勧めるというように、「mixi」というSNSは口コミで広がっていったんです。
ミクシィはそういったSNSと口コミの強みを、ソーシャルゲームに生かしました。
モンストを「mixiのように、SNSを活用した実際に会って遊ぶタイプ」のゲームにし、紹介でユーザー数が増えるような仕組みにしたんです。
結果、モンストは大ヒット。
株式会社ミクシィは、モンストによって、「ゲームを楽しみたい」という既存の課題に対して、「SNSで交流する」という新たな解決策を提供し、ずらし戦略に大成功しました。
パターンCの事例:株式会社TYO
パターンCは、新たな課題に対して、既存の解決策を提供するパターン。
このパターンで、成功したのはCM制作・映像制作を行っている株式会社TYOです。
TYOが目を付けたのは、CMを打ちたいベンチャー企業です。
テレビCMをやっている企業と言えば、これまで大手ばかりでした。
ただ、近年、プロモーションのためにCMを打ちたいと考えるベンチャー企業が増えていました。
しかし、ベンチャー企業は資金が十分ではないことが多く、CMを打てずにいたんです。
そこで、TYOはこの新たなニーズに答えられないか?と考えます。
TYOが考えついたのは、CMを打ちたいベンチャー企業への投資。
ベンチャー企業にCM制作費と、キャンペーン費用を出資します。
そして、CMやキャンペーンで、企業価値の上がったベンチャー企業の上場や売却が成功すると、一定額が入ってくる仕組みを作ったのです。
つまり、ベンチャー企業がCMを作りたいと考える新たなニーズに対しての解決策は、あくまで強みであるCM制作。
しかし、出資することで、ベンチャー企業という新たな顧客を獲得したのです。
既存の解決策に、工夫をして、新たなニーズに対応したパターンですね。
考えた方はほんと天才だと思いました。
ずらし戦略を実行するために必ずやるべきこと
では、最後に、ずらし戦略を実行するためにやるべきことを説明します。
これまで、ずらし戦略の考え方、フレームワークを2つ伝えてきましたが、あることをやらなければ、フレームワークの活用もできないでしょう。
では、何をやればいいのか?
それは、「自社が同業他社と比べて優れている強みのリストアップ」です。
先ほど、ミクシィとTYOを例として、ずらし戦略を紹介しました。
ミクシィならば、SNSと口コミマーケティングが強みでした。その結果、モンストが大ヒット。
TYOならば、高い映像制作能力が強みでした。
その結果、「あくまで制作」という軸をブラさずとも、投資とそのリターンによるビジネスが生まれました。
つまり、ずらし戦略を行う上には、まず自社の強みを把握する必要があるんです。
技術力、営業力、ビジネスモデル、人材など、他社と比べた強みをひたすらリストアップします。
強み発掘のポイントは、属人的ではなく、自社内で再現性があることです。
スキルが特定の人に依存してしまうと、拡大することが難しいですし、その人がやめてしまうと、その事業は存続しないからです。
もちろん、目指す規模にもよりますが、できるだけ、属人的ではなく、自社内で再現性がある強みを発掘すると、ずらし戦略の拡大が上手くいきます。
ずらし戦略まとめ
では、まとめに映ります。
この記事では、次の3つを紹介しました。
1.ずらし戦略とは何か?
2.ずらし戦略のフレームワーク2つ
3.ずらし戦略を実行するために必ずやるべきこと
ずらし戦略の大切さ、考え方が、あなたに、少しでも伝わってくれていたら嬉しいです!
本書には、「ずらし戦略を実行するためにやるべきこと」がより詳細に書かれていますし、たくさんの企業事例が乗っています。
もっと、知りたいって方は、ぜひ本編を実際に見てみてください(←本リンク貼っています)!
ともっちでした!